腹痛が続く場合は内視鏡検査を受けるべき?

腹痛が持続する場合、内視鏡検査による消化管病変の検索は重要な選択肢といえます。では、いつ頃から検査を受けるべきか?慢性腹痛に対する内視鏡検査のタイミングを解説します。

おなかの具合が良くない時は早めに病院で診てもらおう

おなかが長い間いたいったり、お腹の痛みがある時は要注意です。特に、お腹の痛みと一緒に血が混じった便が出たり、血液検査で貧血がある場合はとても大事なサインです。このような場合はすぐに病院で大腸やおなかの中をカメラで診てもらう必要があります。大腸がんや炎症、潰瘍など見逃せない病気を早く見つけるためです。早期に見つかれば、治る可能性が高くなります。だから少しでも変だと思ったらためらわずに病院へ行きましょう。

おなかの具合が変わらない時は様子を見ることも

おなかの痛みがずっと同じような時は、血が出たり貧血がなければ、様子を見ながら我慢することもありです。もちろん長く続く場合は病院で診てもらう必要が出てきます。でも、薬である程度痛みが治まるようでしたら、生活の習慣をよくしていくことも大切です。たとえば、食事の量や間食を減らしたり、ストレスをためないようにしたり。こうした生活習慣の改善が症状の改善につながることも多いのです。

持病がある人は内視鏡検査を定期的に受けるべき?

持病患者の定期内視鏡検査は重要であり、行うことにより持病以外の病気を発見することも可能ですし、現状を把握することもできます。しかし、どれぐらいの頻度で検査を受ければいいか分からない人もいるでしょう。今回は検査を定期的に受けるべきか解説します。

抗凝固薬や抗血小板薬内服中の患者への対応

抗凝固薬や抗血小板薬を常用している患者では、内視鏡検査による出血リスクが高まります。一方で潜在性消化管疾患を見逃す危険性も併せ持ちます。そのため、定期的に検査を受けるべきかは医師による状況判断が必要となります。また、慢性心房細動患者の場合、脳卒中予防の観点から抗凝固薬を中止できないことも多いでしょう。ワルファリンとドバイガトラン併用療法を参考に、出血リスクと疾患リスクを比較考量し、定期的に検査したほうがいいといえます。

免疫抑制薬使用患者に対する消化管感染症スクリーニング

自己免疫疾患でステロイドや生物学的製剤を使用している患者では、日和見感染のリスクが上昇します。特にCMV感染性腸炎は重篤な転帰をたどることがあり、定期的な検査には注意が必要です。免疫抑制状態に対して、内視鏡スクリーニングが有効か否かは議論が分かれるところですが、リスクとベネフィットを考量したうえで検査をして判断することが大切だと考えます。

内視鏡検査で病気が見つかった場合は?

内視鏡検査で新たな病変が見つかった際、最も重要視されるべきは「精密検査に基づく確定診断」のプロセスです。鑑別疾患の列挙や段階的検索を経て病態を特定し、個別性の高い治療介入につなげることが大切です。

病理結果を待たずに治療方針を決めることのリスク

内視鏡所見のみで疾患を決めつけ、治療を開始することは避けるべきです。外観上区別のつきにくい疾患も少なからず存在するため、病理学的根拠に基づいた確定診断を下す必要があります。生検結果が出るまで治療を待機するのは辛いかもしれませんが、誤診に基づいた治療は症状を良化させるどころか悪化させる可能性すらあります。 Guthrieの法則を肝に銘じ、確定診断後の治療介入が基本です。

治療方針検討の際に関連学会のガイドラインを参照する

病名が特定されたら関連する学会で作成された「診療ガイドライン」を参照することをおすすめします。エビデンスに基づいた推奨度を示した治療アルゴリズムが示されていることが多く、個別事例に最適化した治療方針を立案する上で非常に有用です。内科・外科・放射線科といった部署を越えた関係者で治療方針を検討することで、多角的な観点から最善の選択が可能となるでしょう。