内視鏡検査ではどのような病気を見つけられる?

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内視鏡検査によって発見可能となる疾患は多岐にわたります。中でも頻度の高い消化管疾患に着目すると、胃炎や十二指腸炎、腸管出血、胆石症、食道静脈瘤などが代表例です。いずれも観察から治療まで内視鏡で完結できることが大きなメリットといえます。内視鏡検査の基礎知識をご紹介します。

胃の早期ガンを治す方法の変遷

胃の早期ガンは昔、胃の一部を切除する大手術が主な治療法でした。この手術は体に大きなダメージを与えます。でもこの10年ほど前から、胃の早期ガンに対して内視鏡という細い管を使った低侵襲な治療ができるようになりました。内視鏡で早期ガンの部分だけを取り除く治療です。このやり方は体への負担が非常に少ないのです。この内視鏡治療のおかげで、胃の早期ガンの予後がずいぶん改善されました。医療の進歩は日進月歩といいまうが、本当に私たちの健康に寄与する素晴らしいものですね。

多彩な治療装置が開発される前の難治性潰瘍治療

難治性潰瘍の治療に難渋していた時代では、潰瘍面にフィブリン剤を塗布する方法が第一選択でした。これは粘膜の再生過程を促すことを目的としますが、成功率や再発率に大きな課題が残されていました。その後アルゴンプラズマ凝固法や内視鏡的止血法といった新治療機器が次々と実用化されます。内視鏡画像を見ながら病変に直接作用することで、治癒率と再発抑制率が格段に向上する結果となりました。

多彩な生検法が開発される前の胆管癌確定診断

胆管癌の確定診断には病変部からの生検組織が必要不可欠ですが、従来のブラシ式生検では検体採取率が低く再生検の頻度が高くつきました。その後、直視下生検鉗子や経乳頭生検法といった新しい検体採取法が開発・応用されることで、一回の内視鏡検査での診断率は90%を超えるまでに向上しました。低侵襲性と高精度化の両立が実現したことの意義は計り知れません。

内視鏡的びらん止血法や硬化療法登場前の難治性食道静脈瘤

食道静脈瘤に対する内視鏡治療が登場する以前の時代では、症状進行に伴い予後不良となる症例を少なからず経験するのが実情でした。開放性病変では反復性の重度出血に見舞われ、日常生活に支障を来すことも。内視鏡的びらん止血法やエタノール硬化療法に代表される非開存的治療が発達して以来、制御困難症例は激減しました。内視鏡画像をリアルタイムで確認しながら治療できることの強みが存分に生かされていると考えられます。